心拍数、睡眠、心拍変動(HRV)の履歴は個人データです。多くの地域では、そのデータを保有する会社にコピーを請求でき、会社は法律で決められた期間内に応じなければなりません。通常は無料です。EUでは、そのコピーに要約ではなく、会社が処理しているすべての個人データが含まれていなければなりません。支払いをやめたあとに会社が何を残すかは別の問題で、各社が自社の規約で決めています。使われていないアカウントを二、三年で削除する会社もあります。
このガイドでは、主要なサービスがデータの行方について何と述べているか、地域ごとに法律が何を認めているか、コピーの請求のしかた、受け取ったデータの保管のしかたを説明します。各社の利用規約、プライバシーポリシー、ヘルプページ、および法令の条文は、2026年10月22日に確認しました。英語の文書からの引用は、私たちが訳したものです。このガイドは法律についての一般的な情報であり、法的助言ではありません。
ウェアラブルデバイスのデータはだれが持っているか
データは、最大で三つの場所を通ります。
- ウェアラブルデバイス本体。 リングやバンドは、スマートフォンが受け取るまで測定値を保存します。RingConnは、Gen 3は「同期なしで最大10日分のデータを保存します」と述べています(RingConn Support)。
- スマートフォン。 アプリによっては、データをここに置きます。Appleの「ヘルスケア」は、データをiPhoneに保存し、iCloudを使う場合はiCloudにもエンドツーエンドで暗号化して保存します。そのため、Appleは鍵を持ちません(Apple Support, iCloud data security)。
- 会社のサーバー。 多くのサービスは測定値をアップロードし、スコアをサーバー側で計算します。WHOOPのヘルプセンター(英語)は、次の三つの段階すべてをメンバーシップに結びつけています。「メンバーシップが終了すると、WHOOPは生体データの収集、アップロード、分析を行わなくなります」(WHOOP Support)。
データ保護法は、このデータがだれのものかを定めていません。代わりに、データに対する権利を与えています。データを見てコピーを入手する権利(EU一般データ保護規則(GDPR)第15条)、削除を求める権利(第17条)、自分が提供したデータを別のサービスに移す権利(第20条)です。会社が自社の言葉でさらに踏み込む場合もあります。Ultrahumanのプライバシーポリシーは「データはユーザー自身のものであり、当社によるデータの利用もユーザーが管理します」と述べ、Samsungの米国向けポリシーは「個人情報はユーザー自身のものです」と述べています。
支払いをやめたとき、データはどうなるか
支払いをやめたあと
各社の公式文書より、2026年10月22日・24日
-
WHOOP アプリを十分に使うにはメンバーシップが必要
- 過去のデータ(支払いなし)
- 会社の文書の記載が食い違う. ヘルプセンター:見られます。利用規約:コンテンツは「サービスを通じて」は利用できなくなりますが、コピーを請求できます。
- 書き出し(支払いなし)
- 記載なし. WHOOPは、メンバーシップの終了後もアプリ内の書き出しが使えるかどうかを明らかにしていません。
- 削除までの期間
- 記載なし. 期間の記載はありません。利用規約では、契約が終了するとWHOOPがコンテンツを「当社の稼働中のデータベースから」削除できるとされています。
- コピーの請求
- privacy.whoop.com · privacy@whoop.com
-
Oura アプリを十分に使うにはメンバーシップが必要
- 過去のデータ(支払いなし)
- 一部. 毎日の3つのスコアだけです:「コンディション」「アクティビティ」「睡眠」。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. Membership HubからCSVで、「メンバーシップがなくても」利用できます。APIにはメンバーシップが必要です。
- 削除までの期間
- 記載なし. アカウントが有効な間は保存されます。使われていないアカウントについての期間の記載はありません。
- コピーの請求
- dataprotection@ouraring.com
-
Garmin Connect 任意のサブスクリプション
- 過去のデータ(支払いなし)
- はい. アプリにサブスクリプションは不要です。Connect+の開始時、Garminは既存の機能とデータはすべて「引き続き無料」だと述べました。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. アカウント全体をZIPで、Account Management Centerから。
- 削除までの期間
- はい. アカウントの利用が2年間ないと削除されます。ウォッチを身に着けていても、利用には数えられません。
- コピーの請求
- privacy@garmin.com · euprivacy@garmin.com
-
Google Health (Fitbit) 任意のサブスクリプション
- 過去のデータ(支払いなし)
- 記載なし. Google Health Premiumは任意です。終了してもコーチのデータは保持されます。ほかに何が変わるかは、Googleは明らかにしていません。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. Google Takeout。Google Healthを選択します。
- 削除までの期間
- はい. Googleアカウントに移行していないFitbitアカウント:Googleは2026年7月15日を削除の開始日としました。2年間使われていないGoogleアカウントは削除されることがあります。
- コピーの請求
- support.google.com/policies/troubleshooter/7575787
-
Samsung Health サブスクリプションなし
- 過去のデータ(支払いなし)
- はい. Samsung Healthにサブスクリプションはありません。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. アプリ内の「Download personal data」。Samsungはファイルを一覧にしていません。
- 削除までの期間
- はい. 24か月使われていないSamsungアカウントは、メールで通知したうえで、データとともに削除されることがあります。
- コピーの請求
- samsung.com/request-desk
-
Apple Health サブスクリプションなし
- 過去のデータ(支払いなし)
- はい. サブスクリプションはありません。ヘルスケアのデータはiPhoneに保存されます。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. iPhoneで「Export All Health Data」(XML形式)。
- 削除までの期間
- はい. 1年間使われていないiCloudアカウントは、30日前の通知のあとに閉鎖されることがあります。
- コピーの請求
- privacy.apple.com
-
Withings 任意のサブスクリプション
- 過去のデータ(支払いなし)
- はい. Withings+は任意で、これがなくてもデバイスは「通常どおり動作し続けます」。Withingsは、サブスクリプションの状態にかかわらず、いつでも自分のデータに直接アクセスできるとしています。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. アプリから、メールでCSVのアーカイブ。
- 削除までの期間
- 会社の文書の記載が食い違う. EU向け利用規約:ログインなし、デバイスの使用なし、Withingsからのメールのクリックなしの状態が3年続くと削除。米国向け利用規約:5年間ログインがないと無効化されることがある。プライバシーポリシー:10年。
- コピーの請求
- privacy@withings.com
-
Welltory 任意のサブスクリプション
- 過去のデータ(支払いなし)
- 一部. 無料プラン:直近30日分。それより古いデータは、先に書き出さない限り削除されます。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. 同じログインで、ウェブアプリからアーカイブ。
- 削除までの期間
- はい. 3年間利用がないと削除されます。
- コピーの請求
- support@welltory.com
-
Polar Flow 任意のサブスクリプション
- 過去のデータ(支払いなし)
- はい. Polar Flowは無料です。Fitness Programのサブスクリプションは、トレーニングプログラムを加えるだけです。
- 書き出し(支払いなし)
- はい. account.polar.comの「Download your data」。Polarがアルゴリズムで算出する睡眠と活動のデータは含まれません。セッションとRR間隔はFlowのウェブサイトから。
- 削除までの期間
- 記載なし. Flowアカウントが有効なあいだは保存されます。使われていないアカウントの期限の記載はありません。
- コピーの請求
- privacy@polar.com
-
Ultrahuman 任意のサブスクリプション
- 過去のデータ(支払いなし)
- はい. リングにサブスクリプションは不要です。「リングとあなたのデータへの生涯アクセス」。PowerPlugsとUltrahuman Maxは任意です。
- 書き出し(支払いなし)
- 一部. ダウンロードボタンはありません。プログラムを書く人なら、個人用APIトークンで自分の日ごとの指標を読み出せます。iPhoneではAppleの「ヘルスケア」にコピーが残ります。
- 削除までの期間
- 記載なし. 使われていないアカウントの期限の記載はありません。アカウントを閉じると、データが削除されることがあります。
- コピーの請求
- legal@ultrahuman.com
サービスごとに1枚、全部で10枚のカードがあり、それぞれに4つの事実が載っています。支払わなくても過去のデータを見られるか、支払わなくても書き出しが使えるか、使われていないアカウントがいつ削除されるかを会社が示しているか、そしてコピーの請求先です。各事実は、まず答えを言葉で示します。
WHOOP:ヘルプセンターと利用規約で言うことが違う
WHOOPに無料プランはありません。利用規約は、サービスを使うには有効なメンバーシップが必要だと述べており、メンバーシップが終了すると、バンドのデータはアップロードされなくなります。過去のデータについては、WHOOP自身の文書の内容が食い違っています。
- ヘルプセンターの記事(2026年10月22日付)は、「解約後も過去のデータを見られますか?」に「はい、過去のデータは見られますが、解約後は新しいデータは記録されません」と答えています。
- 利用規約(2026年8月3日付)は、メンバーシップが終了するとユーザーのコンテンツは「サービスを通じて利用できなくなりますが、データのコピーを請求できます」と述べています。また、契約が終了したとき、WHOOPは「関連するユーザーのコンテンツを稼働中のデータベースから削除することがあります」とし、「ユーザーのコンテンツをいずれも保存する義務を負いません」とも述べています。
WHOOPは、メンバーシップの終了後にアプリ内の書き出しが使えるかどうかを述べていません。そのため、終了前に書き出してください。手順はページWHOOPを解約するとデータはどうなる?で説明しています。
Oura:スコアは三つだけでも、書き出しは使える
Ouraによると、メンバーシップがないと「一日ごとの三つのOuraスコア(『コンディション』『アクティビティ』『睡眠』)」しか見られなくなり、そのほかに表示されるのはバッテリー、プロフィール、設定です。解約してもデータは削除されず、「メンバーシップがなくても、Membership HubからOuraのデータをすべてCSV形式で書き出せます」。APIにはメンバーシップが必要です(Oura Member Care)。Ouraのプライバシーポリシーは、測定データを「Ouraアカウントが有効な間だけ」保持するとしています。詳しくはページOuraを解約するとデータはどうなる?で説明しています。
サービスごとのページ
解約したり使うのをやめたりしたときにデータがどうなるかを、サービスごとに次のページで説明しています。
- WHOOPを解約するとデータはどうなる?
- Ouraを解約するとデータはどうなる?
- Garminを使わなくなるとデータはどうなる?
- Fitbitを解約するとデータはどうなる?
- Samsung Healthをやめるとデータはどうなる?
- Withingsを解約するとデータはどうなる?
- Welltoryを解約するとデータはどうなる?
- Polar Flowをやめるとデータはどうなる?
- Ultrahumanを解約するとデータはどうなる?
使われていないアカウントの削除期限
使われていないアカウントを削除する会社、または削除する権利を留保している会社がいくつかあります。「使われていない」の意味は、思っているものと違うかもしれません。
- Garmin: 「Garminのすべてのサイトとサービスで、アカウントの利用が少なくとも2年間ない場合、アカウントは削除されます。」ログイン、機器からのアップロード、購入、Garminのマーケティングメールへの反応、コミュニティでのやり取りは利用に数えられます。Garminは、数えないものの一つに「機器の使用」を挙げています。毎日着けていても同期しない時計は、アカウントを存続させません。Garminは先に警告のメールを何度か送りますが、「削除されたデータは復元できません」(Garmin Support)。
- Samsung: 「24か月間使用されていないアカウントは、非アクティブに分類されます。」メールで知らせたあと、アカウントと「関連するデータのすべて、または一部が削除されることがあります」(Samsung Support)。
- Welltory: 「三年間利用がないと、個人データは削除されます。」無料プランでは履歴が過去30日間に限られ、それより古いデータは、先に書き出さないかぎり削除されます(Welltory)。
- Withings: 文書によって三つの期間が示されています。EU向けの利用規約は「WITHINGSは、非アクティブなアカウントをすべて削除します」としています。対象は、三年を超える期間、ログインも、Withings機器からのログインも、Withingsからのメールのクリックもないアカウントで、90日前に通知したうえで削除します。米国向けの利用規約は「ユーザーが5年間ログインしていない場合、WITHINGSはアカウントを無効化することがあります」としています。プライバシーポリシーは、同じ種類の無反応が10年続いて初めて非アクティブとみなして削除するとしています。三つとも2026年10月24日の時点で掲載されていました。自分に当てはまりうるいちばん短い期間を前提にしてください。
- Apple: iCloudの利用規約は、一年間使われていないアカウントについて、メールで30日前に通知したうえでAppleが閉鎖できるとし、そのデータは、規約が期間を示していない「一定期間後」に削除されるとしています。
- Google: Googleは、Googleのサービス全体で少なくとも二年間利用がない場合、「非アクティブなGoogleアカウントと、そのアクティビティおよびデータを削除する権利を留保」しています(Google Account Help)。
サービス自体が終了するとき
サービスの終了はこれまでにもあり、日付が決まっていて、猶予は短いものでした。
- FitbitアカウントのGoogleアカウントへの移行。 「2026年5月19日以降は、FitbitアカウントでFitbitにアクセスできなくなります。」移行されなかったアカウントについて、Googleは2026年7月15日を、データの削除処理を始める日としていました(Google Health Help)。
- Microsoft Health Dashboard。 Microsoft Bandを支えていたサービスです。「Microsoft Health Dashboardのすべてのデータは、2019年5月31日に削除されます。」Bandの所有者は、ウェブの機能なしでBandを使い続けられました(Microsoft Support)。
- Suunto Movescount は2022年1月10日を最後に終了しました。その後は「Movescountを使うことも、そこからトレーニング履歴をインポートすることもできません」(Suunto)。
- Endomondo は2020年12月31日に終了しました。MapMyRunへの移行は2021年2月15日まで可能で、所有者が削除しなかったデータは、2021年3月31日より後に削除される予定でした(Endomondo Support、アーカイブ)。
- Polarのpolarpersonaltrainer.com は2019年12月31日に終了しました。「期限内にデータを移さなかった場合、残念ながらデータはすでに削除されており、復元できません」(Polar, Privacy FAQ)。
どの終了にも、日付とダウンロードの猶予期間があり、その後にデータは削除されるか、移せなくなりました。
地域ごとの権利
EUとEEA:GDPR
GDPRは、本拠地がどこであっても、また料金を払うかどうかにかかわらず、EUの人々に商品やサービスを提供するすべての会社に適用されます(第3条2項)。健康データは特別な種類の個人データです(第9条)。
- データのコピー(第15条)。 会社がデータを処理しているかどうかの確認、データのコピー、および次の情報を得られます。目的、提供先、保存期間、本人から取得していないデータの入手元です。電子的に請求した場合、別の形式を求めないかぎり、コピーは「一般的に使われる電子的な形式」で届きます。提供先は、特定できない場合を除き、種類だけでなく名称も請求できます(EU司法裁判所、C-154/21)。
- 無料で、理由は不要。 最初のコピーは無料で、会社が請求の理由を尋ねることはできません(EU司法裁判所、C-307/22)。請求を拒否したり、料金を課したりできるのは、請求が「明らかに根拠がない、または過度」な場合だけで、それは会社が示さなければなりません(第12条5項)。同裁判所は、最初の請求でも過度とされることがあるものの、それは例外的な場合に限られると判断しています。会社は、その請求が権利を濫用する意図で、たとえば損害賠償を請求できる状況を意図的につくり出すために行われたことを証明しなければなりません(C-526/24)。合理的な疑いがあれば、会社は本人確認を求めてもかまいません(第12条6項)。
- 一か月。 会社は「不当な遅滞なく、いかなる場合も請求の受領から一か月以内に」回答しなければなりません。「請求の複雑さや数を考慮して必要な場合」は、さらに二か月延長できますが、最初の一か月以内に、その旨と理由を伝えなければなりません(第12条3項)。
- データポータビリティ(第20条)。 自分が提供したデータは、「構造化され、一般的に使われ、機械可読な形式」で入手でき、別のサービスに送ってもらえます。処理が同意または契約に基づき、自動化されている場合に適用されます。
- 苦情(第77条)。 居住地、勤務地、または問題が起きた場所の監督当局に申し立てられます。欧州データ保護会議(EDPB)が各国の当局を一覧にしています。
英国
英国GDPRにも同じ権利があり、組織は「不当な遅滞なく、一か月以内に」回答しなければなりません(英国情報コミッショナー事務局、ICO)。2025年データ(利用およびアクセス)法は、三つの点を変えました。
- 会社が「合理的かつ比例的な検索」で見つけたものを受け取る権利があります。この規定は2024年1月1日から有効だったものとして扱われます(第78条)。
- 2026年2月5日以降、請求の対象を特定するために会社が合理的に追加の情報を必要とし、それを求めた場合、一か月の期間は、本人が返答するまで止まります(第76条、2026年の施行規則により同日から有効)。ICOのガイダンスは、請求者に請求の範囲を狭めるよう強制することはできない、と付け加えています。
- 2026年6月19日以降、会社自体に苦情を申し立てる権利があり、会社は30日以内に苦情の受領を通知しなければなりません(第103条)。これまでどおりICOに苦情を申し立てることもできますが、ICOは、大半の場合はまず会社に懸念を伝えるよう勧めています。
カリフォルニア州
カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が対象とするのは、カリフォルニア州で事業を行う営利企業で、次の三つの基準のいずれかを満たすものです。年間売上高が2,500万ドル(インフレに応じて調整)を超える、100,000人以上の消費者または世帯の個人情報を購入、販売、または共有している、売上の半分以上を個人情報の販売または共有で得ている(民法典§1798.140)。
- 事業者が収集した自分に関する「個人情報の具体的な内容」を請求でき(§1798.110)、自分について導き出された推論も個人情報です(§1798.140(v))。
- 事業者の回答期限は45日です。最初の45日以内に通知すれば、合理的に必要なときは一度だけさらに45日延長できます。回答は無料で、「技術的に可能な範囲で」機械可読です(§1798.130)。
- 原則として、直近12か月分が対象です。2022年1月1日までさかのぼって請求でき、それが不可能、または過大な負担になるとする事業者は、その理由を詳しく説明しなければなりません(CCPA規則§7024(h))。
- 事業者は、12か月に二回を超えて回答する必要はありません(§1798.130(b))。
苦情は、カリフォルニア州プライバシー保護局または州司法長官に申し立てます。ほかの米国の州にも独自の法律があります。たとえばGarminは、「包括的なプライバシー法を持つ米国のどの州」の居住者でも、アクセス、訂正、削除、データポータビリティを請求できるとしています(Garmin)。
ブラジル、日本、韓国、ロシア
| 地域と法律 | 請求できる内容 | 期限 | 回答がない場合 |
|---|---|---|---|
| ブラジル、LGPD | アクセス。無料です(第18条)。同意または契約に基づく処理については、ANPDが定める条件で、完全な電子コピーも求められます(第19条§3) | 簡易な回答はただちに。明確かつ完全な回答は請求から15日以内(第19条) | データ保護当局であるANPDへの請願 |
| 日本、個人情報保護法 | データの開示。電子的な方法による開示も含みます(第33条)。合理的な手数料は認められています(第38条) | 「遅滞なく」。日数の定めはありません | 個人情報保護委員会の相談窓口 |
| 韓国、PIPA | データの閲覧(第35条)。データの送付を求める権利(第35条の2)は、現時点では、一部の保健機関、携帯電話事業者、エネルギー供給事業者などの指定された取扱者にだけ適用され、会社が導き出したデータは対象外です | 10日(施行令第41条)。正当な理由があれば、会社は通知したうえで延期できます(第35条) | 韓国の個人情報保護委員会への通報(第62条) |
| ロシア、152-FZ | 処理に関する情報。データそのものも含みます(第14条)。電子コピーを受け取る権利やデータポータビリティの権利は見つかりませんでした | 10営業日。理由を付した通知があれば、さらに最大5営業日(第20条) | 権限を持つデータ保護機関、または裁判所(第17条) |
ロシアの条文は、公式ポータルに接続できなかったため、ConsultantPlusが公開している統合版です。韓国では、2027年2月20日から、自分あてにデータを送ってもらう権利が、売上高と利用者数で定められた大企業にも及びます(施行令第42条の2)。
下の図では、一か月を30日として描いています。ロシアの営業日は、一週間を五営業日とし、祝日は除いて描いているため、10営業日は14暦日、15営業日は21暦日で示されます。
回答期限を暦日で示した棒グラフです。地域ごとに1本、0日から90日までです。 EUおよびEEA(GDPR):1か月。請求が複雑な場合や多数の場合は、必要に応じて最大3か月。 英国(UK GDPR):1か月。請求が複雑な場合や多数の場合は、必要に応じて最大3か月。 カリフォルニア州(CCPA):45日。合理的に必要な場合は最大90日(通知あり)。 ブラジル(LGPD):明確かつ完全な回答は15日以内。 韓国(PIPA):10日。理由を示せば延期できる。 ロシア(152-FZ):10営業日。理由を付した通知があれば最大15営業日。 日本(個人情報保護法):「遅滞なく」:日数の定めなし。
コピーとは、アプリの要約ではなく、全データのこと
アプリが心拍数を数年前までさかのぼって分単位で表示し、そのデータを会社のサーバーから取得しているなら、会社はそのデータを保有し、処理しています。私たちは、GDPRのもとでは、請求するコピーにも日ごとの平均ではなく、その細かさのデータが含まれるべきだと考えています。この考え方を支える情報源は三つあります。
- EU司法裁判所。 コピーとは「原本の忠実な再現または転写」であり、そのため「データの純粋に一般的な説明」では足りません。「したがって、コピーには処理中のすべての個人データが含まれていなければならず」(C-487/21、段落21および32)、「それらのデータを完全かつ忠実に再現」していなければなりません(段落39)。個人データには「処理の結果として得られるすべての情報」が含まれます(段落26)。同じ論理で、測定値から計算されたスコアも対象になります。
- 要約された形の健康データ。 診療記録をめぐる事件で、裁判所は、「データの単なる要約、または集約された形での編集」を渡すと、「関連するデータが省かれたり、誤って再現されたりする」おそれが生じうると述べました(C-307/22、段落78)。
- 欧州データ保護会議。 アクセス権は「データの要約だけを認めるものと理解することはできない」とされています(ガイドライン01/2022、段落23)。対象には、接続された機器の生データや「健康評価の結果」も含まれます(段落97)。さらに、「セルフサービスのツールを使うことで、受け取る個人データの範囲を決して制限すべきではない」としています(段落138)。書き出しボタンがあっても、全データのコピーの代わりにはなりません。
Ouraの開発者向けドキュメントを見ると、この点が重要な理由がわかります。ドキュメントによると、夜間の平均心拍数は「30秒間隔のサンプルに基づく」ものですが、「アプリが表示するのは、集約した5分間隔の心拍数サンプルの平均」です(Oura API)。会社はアプリが見せるよりも細かいデータをもとに計算しており、この考え方では、全データのコピーには、そのうちOuraがまだ保有しているものが含まれるべきです。Ouraは、30秒間隔のデータをどのくらいの期間保持するのかを述べていません。
上から順に3か所あります。ウェアラブル上、スマートフォン上、会社のサーバー上です。サーバーには3つの層があり、それぞれ前の層より目盛りが少なく描かれています。層ごとに、書き出しボタン、第15条によるコピー、第20条によるデータポータビリティの3つの経路が示されています。 ウェアラブル上、同期待ちの測定値:リングやバンドは、スマートフォンが取りに来るまでデータを保持します。RingConn Gen 3では最大10日分です。この時点では、どの会社もまだ持っていません。 書き出しボタン:届かない。コピー:届かない。データポータビリティ:届かない。 スマートフォン上、スマートフォンだけにあるデータ:Apple HealthはデータをiPhoneに保存し、iCloudではエンドツーエンドで暗号化して保存します。スマートフォンから書き出してください。会社がコピーできるのは、保有しているものだけです。 書き出しボタン:届く。コピー:場合による。データポータビリティ:場合による。 会社のサーバー上、細かいサンプル:会社が処理の元にするデータです。OuraのAPIは、睡眠中の心拍数を「30秒ごとのサンプルに基づく」ものと説明しています。 書き出しボタン:場合による。コピー:届く。データポータビリティ:届く。 会社のサーバー上、アプリに表示されるもの:サンプルから算出した値です。Ouraは、アプリが「5分に集約した」心拍数を表示するとしています。 書き出しボタン:場合による。コピー:届く。データポータビリティ:場合による。 会社のサーバー上、スコア:会社が算出する1日1つの数値です:「コンディションスコア」「Recovery」、睡眠スコア。 書き出しボタン:場合による。コピー:届く。データポータビリティ:届かない。
この主張の限界
- ウェアラブルデバイスの事例はまだありません。 C-487/21は信用調査会社、C-307/22は歯科医に関する事件でした。これらをリングや時計に当てはめるのは、判決ではなく類推による主張であり、会社や当局は別の見方をするかもしれません。
- 会社がまだ保有しているデータだけ。 会社には、保持期間が過ぎたあとなど、すでに持っていないデータを提供する義務はありません。ただし、請求を避けるためにデータを削除してはなりません(EDPB、段落37および39)。
- 会社が処理しているデータだけ。 Appleの「ヘルスケア」のように、細かいデータがスマートフォンにしかない場合、会社側にコピーするものはありません。その場合はスマートフォンから書き出してください。
- 大量のデータの請求。 会社が本人に関する大量のデータを保有している場合、会社は、提供する前に、請求が対象とする情報や処理を特定するよう求めることができます(GDPR前文63)。EDPBは、「本人の頻繁な活動に関するデータを長期にわたって収集する」会社を挙げています(段落35)。請求にデータの種類と日付を書いておけば、このやり取りを省けます。
- 形式。 第15条が求めるのは一般的に使われる電子的な形式で、EDPBは、アクセスならPDFでも足りるとしています(段落156)。機械可読なファイルは第20条の権利で、対象は「ウェアラブルデバイスが記録した心拍」のような自分が提供したデータであり、会社が推定したスコアは含まれません。このデータについて、業界で一般的に使われる形式がない場合、第29条作業部会は、XML、JSON、CSVのようなオープンな形式を「可能なかぎり最良の粒度で」求めました(WP242)。
- 営業秘密。 会社はアルゴリズムを保護できますが、「その考慮の結果が、すべての情報の提供の拒否であってはならない」とされています(GDPR前文63)。
- EU以外。 英国は、検索の範囲を合理的かつ比例的なものに限っています。カリフォルニア州は、原則として12か月分の「個人情報の具体的な内容」が対象で、事業者は12か月に二回を超えて回答する必要はありません。
コピーを請求する方法
会社のプライバシーポリシーに載っている宛先に書くか、プライバシーのフォームを使い、送った内容は日付つきで控えを残してください。十のサービスの宛先は、上の図に載せています。このサイトのデータ請求レターの作成ツールを使うと、これらの項目を請求の手紙にまとめられます。
そのあとの流れは次のとおりです。
- 期限を控えてください。 EUと英国は一か月、カリフォルニア州は45日です。数えはじめるのは、会社が請求を受け取った日で、英国では、本人確認に必要なものが会社にそろった日です。
- 本人確認には早めに答えてください。 会社は本人確認を求めることがあり、その間は期間が止まる場合があります。
- 届いたものを確認してください。 請求に挙げたリストと照らし合わせ、データの種類や期間が欠けている場合は、返信して、欠けているものを挙げてください。
- 期限を過ぎても回答がない場合は、最初の請求とその日付を引用して督促を送ってください。そのうえで、EUではデータ保護当局に、英国ではICOの勧めに従って会社に、続いてICOに、カリフォルニア州ではカリフォルニア州プライバシー保護局または州司法長官に苦情を申し立ててください。
届くものと、その開き方
大半の会社は、メールのリンクかプライバシーポータルでZIPアーカイブを送ります。リンクの期限が切れる前にダウンロードしてください。WHOOPの書き出しリンクは、7日間で期限が切れます(WHOOP Support)。
- CSV: どの表計算ソフトでも開ける表です。単位を確認してください。Ouraは時間の長さを秒で記録しています。
- JSON: 構造化されたテキストで、テキストエディターやブラウザで読めます。
- FIT: アクティビティと日ごとのウェルネスのファイルに使われる、Garminのバイナリ形式です。GarminのFIT SDKツールにはFitCSVToolが含まれ、「バイナリのFITファイルを読めるテキストファイルに変換するコマンドラインツール」です(Garmin Developers)。このツールは、GarminのFITプロトコルライセンスのもとで提供されます。
- XML: Appleの「ヘルスケア」の書き出しです。メインファイルの
export.xmlは、非常に大きくなることがあります。
どの機器からでもHRVデータを書き出す方法では、各プラットフォームの書き出しに何が入っているかを説明しています。RRコンバーターは、一拍ごとの間隔を含むファイルを、アップロードせずにブラウザ上で、単純な一覧に変換します。
アーカイブを使える状態で保管する方法
- 原本はそのまま残してください。 届いたままのアーカイブを、日付とサービス名をつけて保存し(
2026-10-22_whoop_export.zipなど)、作業はコピーだけで行ってください。 - チェックサムを記録してください。 原本の隣に置き、たとえば
shasum -a 256 2026-10-22_whoop_export.zip > 2026-10-22_whoop_export.zip.sha256で作成して、ときどき照合してください。チェックサムを見れば、ファイルが変わっていないかがわかります(NDSA、フィクシティのガイダンス)。 - 作業用のコピーは、オープンな形式で持ってください。 解凍し、FITファイルはCSVに変換し、CSV、JSON、XMLは届いたまま残してください。
- 書き出しごとに、日付つきのフォルダーを一つ作ってください。
| フォルダーまたはファイル | 入れるもの |
|---|---|
health-data/whoop/2026-10-22/ | 一回分の書き出し(サービスと日付別) |
original/ | 届いたままのアーカイブと、その.sha256ファイル |
extracted/ | 解凍したファイルと変換したファイル |
README.txt | ファイルの内容の説明 |
- 各フォルダーにREADMEを書いてください。 機器とアプリのバージョン、単位、数値がどのHRV指標か(WHOOPはRMSSD、AppleはSDNN)、タイムゾーンを記します(WHOOP Support、Appleの「ヘルスケア」)。このメモがないと、サービスが違う値は比べられません。
- コピーを三つ作ってください。 「重要なファイルはどれも3部持つ。1部は原本、2部はバックアップ」とされています。保存先は二種類に分け、一つは自宅以外の場所に置いてください(US-CERT、Data Backup Options)。
- バックアップは暗号化してください。 これらのファイルは健康データです。
- 定期的に書き出してください。 サービスをやめるときだけでなく、数か月おきに行ってください。削除の期限、サービスの終了、リンクの期限切れがあると、手元に残るのは、すでに作ったコピーだけです。
このページは、データ保護法についての一般的な情報であり、法的助言ではありません。