HRVは体調を崩す前に教えてくれる?

心拍変動(HRV)の低下と安静時心拍数の上昇は、体が何かと戦っている早い段階のサインになることがあります。研究によると、これが役立つのは一部の人の、一部の場合に限られ、見逃しが多く、誤警報もたびたび出ます。診断ではなく、無理せず休むきっかけとして受け止めてください。

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要点

  • 体調を崩すとき、HRVが下がり、安静時心拍数が上がることがよくあります。症状が出る前に変わることもあります。
  • ウェアラブルデバイスの研究では、症状が出る前に早期警告で捉えられたのは一部の症例にとどまり、健康な日にも警告が出ました。
  • 最もよく検証された警告の仕組みは、HRVだけに頼らず、安静時心拍数や呼吸数と組み合わせています。
  • 感染以外にも、飲酒、きつい練習、ごく短い睡眠が数晩続くことなど、HRVを下げる要因は多くあります。
  • 低い測定値は検査結果ではなく、休んで体調の変化に気を配るきっかけです。

ときにはありますが、確実ではありません。体調を崩す一日か二日前に、夜間の心拍変動(HRV)が下がり、安静時心拍数が上がることがあります。ただし研究では、この早い段階の信号で捉えられた感染は一部だけで、健康な日にも警告が出ました。

体調を崩すとHRVはどうなるか

病気のとき、安静時心拍数と呼吸数は上がり、HRVは下がる傾向があります。COVID-19にかかったFitbitユーザーの大規模な研究でも、そうでした。毎朝スマートフォンのアプリで短い測定をした28,175人のデータでは、具合が悪いと記録した日のHRV( RMSSD RMSSD 隣接するNN間隔の差の二乗平均平方根。1拍ごとの心拍間隔が次の拍とどれだけ違うかをミリ秒で表すHRV指標で、主に迷走神経の活動を反映します。 RMSSDについてさらに詳しく )が約10%低く、安静時心拍数は約6%高くなっていました。

問題は、こうした変化が警告になるほど早く、はっきり現れるかどうかです。病気の最中に何が起きるかは病気のページで説明しています。ここで扱うのは、その手前の早期警告です。

研究でわかったこと

根拠の大半は、2020年と2021年のCOVID-19研究です。

  • Fitbitユーザー。 研究者は、症状のあった1,257人の夜間の呼吸数、 安静時心拍数 安静時心拍数 完全に安静にしているときの、毎分の心拍数。成人では通常、毎分60〜100拍で、よく鍛えた選手ではそれより低くなります。 安静時心拍数についてさらに詳しく 、HRVを使いました。モデルは夜間の値を使い、誤警報が少なくなるよう調整されていました(特異度95%)。この設定で、症状が出る前日に警告が出たのは15%、症状が出た当日は24%でした。大半の症例は、早い段階では警告されませんでした。
  • 健康な人への誤警報。 同じモデルを健康なユーザー300人に適用すると、約4%の日が「体調不良」と判定されました。月に一度強の誤警報にあたります。
  • スマートウォッチの心拍数。 別の研究では、5,300人近く(その大半がスマートウォッチを着用)を追跡し、COVID-19にかかった32人を分析しました。安静時心拍数、歩数、睡眠の変化が26人に見られ、多くは症状の前でした。この研究ではHRVはまったく使われていません。それでも健康な人に、月に約0.66回の警告が出ました。著者は、旅行、飲酒、ストレス、単なる偶然でも安静時心拍数が上がることがあると述べています。
  • Apple WatchのHRV。 病院職員297人のうち13人が陽性でした。陽性者では、HRV( SDNN SDNN 記録に含まれるすべてのNN間隔の標準偏差で、単位はミリ秒です。全体の変動を表し、値は記録時間に強く左右されます。 SDNNについてさらに詳しく )の一日のリズムが、診断前の7日間に変わっていました。症例が少ないため、著者は結果を予備的なものとし、時計が個人の病気をどれだけ警告できるかは報告していません。

つまり、この信号は集団レベルでは確かにありますが、一人ひとりについては弱いものです。Fitbitの研究はHRVを安静時心拍数や呼吸数と組み合わせましたが、それでも早い段階で捉えられた症例は一部でした。アプリ利用者28,175人の研究では、HRVは感度は高いものの特異度は低く、感染だけでなく多くのストレスで動くことがわかりました。著者は、病気を見つけるには安静時心拍数のほうがはっきりした指標かもしれないと述べています。両者の違いはHRVと安静時心拍数を参照してください。

自分のデータの使い方

  • 他の人とではなく、自分のベースラインと比べます。一晩だけ低くても、ほとんど意味はありません。二、三晩続けて低く、安静時心拍数も高いときのほうが、気に留める価値があります。
  • まず当たり前の原因を除きます。遅い時間の飲酒、きつい運動、ごく短い睡眠が数晩続くことは、感染がなくてもHRVを下げることがあります。
  • 数値がいつもと違い、のどの違和感や普段にはない疲れがあるときは、無理をしないでください。誤警報だったとしても、楽に過ごした一日の損失は小さなものです。
  • 数値がいつもと違っても体調がよければ、いつもどおりに過ごし、翌日もう一度確認します。

日ごとのぶれと本当の変化の見分け方は、レッスンHRVのベースラインをつくるにあります。測定値が自分にとって低いのかどうか迷うときは、HRVが低いとはどういうことかを見てください。

医師に相談するとき

HRVからは、どの病気なのか、どれほど重いのかはわかりません。判断は症状をもとにしてください。下がらない高熱、息苦しさ、胸の痛み、意識がもうろうとする、症状が悪化し続けるといった場合は、医師に連絡してください。インフルエンザやCOVID-19などの感染かどうかを知る必要があるときは、きちんとした検査で確かめます。

よくある質問

症状が出る何日前からHRVは変わりますか?

研究では、症状の一日以上前に変化が出た人もいて、一週間以上前に出た人も少数いました。早い段階の変化がまったく出ない人も多く、当てにできる前触れの日数はありません。

出典

  1. Assessment of physiological signs associated with COVID-19 measured using wearable devices npj Digital Medicine, 2020
  2. Pre-symptomatic detection of COVID-19 from smartwatch data Nature Biomedical Engineering, 2020
  3. Use of Physiological Data From a Wearable Device to Identify SARS-CoV-2 Infection and Symptoms and Predict COVID-19 Diagnosis: Observational Study Journal of Medical Internet Research, 2021
  4. What Is behind Changes in Resting Heart Rate and Heart Rate Variability? A Large-Scale Analysis of Longitudinal Measurements Acquired in Free-Living Sensors, 2021
  5. Sleep Deprivation Deteriorates Heart Rate Variability and Photoplethysmography Frontiers in Neuroscience, 2021