平均すると、下がります。不安症の人は、そうでない人より安静時の心拍変動(HRV)が低い傾向がありますが、差は小さめで、HRVから不安症かどうかはわかりません。
研究でわかっていること
診断された不安症のある人とない人の安静時HRVを比べた大規模なレビューが、二つあります。
- 2014年のレビューは、不安症のある2,086人とない2,294人を対象にした36件の研究を統合しました。不安のあるグループはHRVが低く、差は小さいか中程度でした。HRVの低さは、パニック症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、全般不安症、社交不安症でみられました。
- 2022年のレビューは、不安症のある4,897人とない5,559人を対象にした99件の研究を統合しました。同じパターンで、不安のあるグループの安静時HRVが低く、やはり差は小さいか中程度でした。
二つのグループは大きく重なっています。不安症があっても普通のHRVの人は多く、落ち着いていてもHRVが低い人は多くいます。これらの研究は、研究の条件で取った安静時の記録を使っており、毎晩のウェアラブルデバイスの測定とは違います。
不安とHRVが関連する理由
HRVが主に映すのは、神経系のうち落ち着かせる側で、迷走神経を通じて働きます。安全でくつろいでいると、この側が心臓を遅くし、拍と拍の間隔が呼吸に合わせて伸び縮みします。その結果、HRVは高くなります。
脅威を感じると、落ち着かせる側の働きが弱まり、「警戒」の側が主導します。心拍数が上がり、拍が均一になるため、HRVは下がります。不安は、実際の危険がなくても、この警報を部分的に入れたままにしているのかもしれません。2014年のレビューの著者は、迷走神経の活動が弱いことが、不安と心臓の健康を結びつける経路の一つかもしれないと述べています。くわしい説明は、レッスンHRVを生む神経系のしくみにあります。
これらのレビューは、ある時点のグループを比べたものなので、示すのは関連であり、原因と結果ではありません。
HRVからわからないこと
- 不安の診断はできません。 不安症は、ときどきの心配とは違います。なくならず、多くの場面で現れ、時間とともに悪化しうる不安です。それを評価できるのは、専門家との対話だけです。
- 不安と、ほかの負担を区別できません。 よく眠れなかった夜、数杯の飲酒、風邪の引き始めのあとの低い測定値は、心配事の多かった日のあとの低い測定値と同じに見えます。HRVとストレスのページで説明しています。
- HRVが普段どおりでも、問題がないとは限りません。 不安を感じているなら、アプリが何と言おうと、その気持ちは大切です。
自分のデータでどうするか
- 数週間のパターンを探します。 ストレスの多かった日を記録し、そのあとにHRVが下がりやすいかどうか見てください。一日だけの値は、ぶれが大きくて、あまり読み取れません。
- ゆっくりした呼吸を試します。 研究では、毎分約六回の呼吸で、ほとんどの人は一回の呼吸ごとの心拍数の揺れが最も大きくなり、そのため行っている間はHRVが上がります。方法は呼吸法でHRVは上がる?を参照してください。
- ガイド付きのトレーニングを検討します。 484人を対象にした24件の研究の2017年のレビューは、HRVバイオフィードバックのトレーニング(心拍のリズムに導かれる、ゆっくりした一定のペースの呼吸)が、自己申告のストレスと不安の大きな低下と関連していたと報告しています。著者は、よく管理された研究がさらに必要だと述べています。
- 記録が不安をあおるなら、少し離れます。 毎朝数値を確認することが、また一つの心配事になることがあります。週平均で十分です。
医師に相談するとき
心配や恐れをコントロールしにくいとき、数週間続くとき、仕事、睡眠、人間関係の妨げになるときは、医師かメンタルヘルスの専門家に相談してください。胸の痛み、失神、息苦しさがあるときはすぐに受診してください。不安のように感じられることがありますが、確認が必要です。危機的な状況にあるときや、自分を傷つけることを考えているときは、すぐに地域の緊急通報番号か相談窓口に連絡してください。